「会わない」からこそ、距離は縮まる。全国200社が選ぶ「完全オンライン×財務支援」の新しい税理士像
新美 敬太|しんこう会計事務所 代表税理士
1981年愛知県半田市生まれ。早稲田大学理工学部を経て、約7年間の実務経験を積み2019年に独立開業。創業当初よりクラウド会計に特化し、マネーフォワード『プラチナ公認メンバー(2021〜2025年)』認定や、『2024年TOP100事務所』選出など数々の実績を持つ。理系出身ならではの合理的な視点で業務をオンライン化する一方、YouTubeチャンネル『にいみ税理士のお悩み相談室』では経営者の悩みに寄り添う発信を行う。元銀行員チームによる強力な財務支援で、全国のスタートアップ・中小企業を支えている。
インタビュアー: しんこう会計事務所様は、税理士業界でもいち早く「完全オンライン対応」「クラウド会計特化」を打ち出し、現在では全国に200社近い顧問先をお持ちだと伺いました。まずは事務所の全体像と、なぜ2019年の開業当初から、今のような先進的なスタイルに行き着いたのか、その原点からお聞かせいただけますか?
現在、私たちの事務所は名古屋を拠点としつつ、東京にもサテライトオフィスを構え、私を含めて13名の体制で運営しています。サービスとしては、オンラインで全て完結する税務顧問「しんこうONLINE」、財務コンサルティングを行う「しんこうCFO」、そして「創業融資サポート」の3つを柱にしています。
開業したのは2019年4月です。当時はまだコロナ禍前でしたが、最初から「マネーフォワードなどのクラウド会計が得意な事務所」というブランディングをしていました。税理士業界はまだまだアナログな慣習が根強い世界ですが、私自身は効率化やIT活用に可能性を感じていたんです。ただ、決定的だったのはやはり2020年からのコロナ禍ですね。
それまでは「税理士とは対面で会うもの」という常識がありましたが、2020年2月、3月頃を境に、世の中の空気が一変しました。お客様側で「Zoomでの面談でも構わない」「むしろオンラインの方がいい」という声が増えました。クラウド会計ソフトとオンライン面談は非常に相性が良い。そこで、この変化を機に「オンライン税務顧問」という形を全面的に打ち出すことにしました。
私たちの強みは、単に「Zoomが使える」というレベルではなく、事務所の業務フローそのものをオンライン前提で設計している点にあります。移動時間がなくなることで、その分をお客様との対話や本質的な提案の時間に充てられる。これは私たちだけでなく、お客様にとっても大きなメリットになっていると実感しています。

インタビュアー:現在は具体的にどのようなお客様が多いのでしょうか。また、名古屋に本拠地を置きながら、あえて東京にサテライトオフィスを構えている戦略的な狙いについても教えてください。
お客様の層でいうと、業種は本当にバラバラです。ただ、オンラインでのやり取りが中心になるため、地元思考が根強い建設業や製造業のお客様は比較的少なめですね。フェーズとしては、これから起業する方や、起業から5年以内のスタートアップ企業が中心です。年齢層も30代〜40代の経営者が多く、デジタルツールへの感度が高い方が集まっています。
地域に関しては、拠点が愛知にあるので愛知県のお客様が多いですが、それでも全体の半分弱です。残りの半分以上は、北海道から沖縄まで全国にいらっしゃいます。「地元の税理士じゃないと不安」という声が以前はありましたが、今はもう「話が通じるなら場所は関係ない」と考える経営者が増えていますね。
東京にサテライトオフィスを置いているのは、実は戦略的なブランディングの意味合いが強いんです。日本のビジネスはどうしても東京に集中しています。地方の、名前も知らない街にある事務所だと、東京の経営者は「本当にここで大丈夫かな?」と心理的なハードルを感じてしまうことがある。ですが、「東京にもオフィスがある」という事実が一つあるだけで、そのハードルがぐっと下がるんです。「東京に進出しているしっかりした事務所なんだな」と信頼していただける。
もちろん、実際に拠点として使うことも多々あります。私が月2回ほど東京へ行く際に拠点として使いますし、お客様との重要な面談や、金融機関との打ち合わせで利用することもあります。オンライン完結を謳っていますが、ここぞという時の「物理的な拠点」が信頼を補完してくれる。このハイブリッドな安心感が、全国のお客様から選ばれている理由の一つかもしれません。
インタビュアー: お客様の中には「対面で会わないと、どうしても距離を感じてしまうのでは?」「相談しにくくなるのでは?」と不安に思う方もいらっしゃる気がします。その点、実際の現場ではどのようなコミュニケーションを取られているのでしょうか。
おっしゃる通り、一般的には「対面=親密、オンライン=希薄」というイメージがあるかもしれません。でも、私たちの実感は逆なんです。「会わないからこそ、心理的な距離は近くなる」と考えています。
その鍵になるのが、チャットツール(Chatworkなど)の活用と、レスポンスの速さです。税理士に対する不満で一番多いのが、「連絡がつかない」「返事が遅い」というものなんです。電話しても不在、メールしても返信は3日後…これでは信頼関係なんて築けませんよね。私たちは、原則としてチャットでの連絡を採用しており、営業時間内であれば平均30分以内には何らかの反応を返すようにしています。まるで友人とLINEをしているような感覚で、気になったことをその場でパッと投げかけてもらう。するとすぐにプロから返事が返ってくる。
このスピード感と気軽さがあれば、わざわざ月1回スーツを着て1時間面談するよりも、よっぽど濃い信頼関係が築けるんです。実際、お客様からも「前の税理士さんより頻繁に相談できている」という声をよくいただきます。

インタビュアー: そうした迅速な対応を実現するために、事務所側で工夫されている仕組みなどはあるのでしょうか?
はい、そこは徹底して「仕組み化」しています。まず、使用するツールを統一しています。会計ソフトは「マネーフォワード」、連絡は「Chatwork」、会議は「Zoom」といった具合です。ツールをお客様ごとにバラバラに合わせてしまうと、どうしても確認漏れやスイッチングコストが発生して、対応の質が落ちてしまいますから。そこをあえて統一させていただくことで、私たちもスムーズに業務ができ、結果としてお客様へのレスポンス速度という価値で還元できています。
また、品質管理という面では、私自身が全200社以上のチャットグループすべてに参加しています。もちろん実務担当はスタッフが行いますが、やり取りは全て私の目に入るようになっているんです。難しい判断が必要な案件には私が直接入ることもあります。「オンラインだから放ったらかし」には絶対にしない。代表の目が届く範囲で、しっかり品質を担保する。そこはこだわっているポイントですね。
インタビュアー: しんこう会計事務所様の特徴として、もう一つ驚いたのが料金体系です。「月額固定・決算料0円」というプランは、業界的にはかなり思い切った設定ではないでしょうか。通常、決算料は月額顧問料の数ヶ月分というのが相場だと思いますが、なぜこの形を選ばれたのですか?
確かに業界の慣習からすると珍しいかもしれませんね。でも、理由はとてもシンプルで合理的です。一つは、お客様にとっての分かりやすさ。毎月定額であればキャッシュフローの予測がつきやすいですよね。「今月は決算だからドカンと請求が来る」という不安がないのは、特に創業期の経営者にとっては大きな安心材料になります。
もう一つは、実は私たち自身の業務効率化のためでもあるんです。毎月請求書を作って、送って、入金確認をして…という作業は、積み重なるとかなりの事務コストになります。定額制にして口座振替で自動引き落としにすれば、その請求業務自体がゼロになる。「請求しない仕組み」を作ることで、バックオフィスの負担を極限まで減らしているんです。その分、顧問料をリーズナブルに設定しても利益が出る構造にしています。
インタビュアー: なるほど。お客様へのメリットだけでなく、事務所側のコスト削減という意図も明確にあるわけですね。お互いにWin-Winな仕組みだと感じます。ただ、安さを売りにすると「とりあえず安ければいい」というお客様ばかり集まってしまう懸念はありませんか?
そこは明確に線引きをしています。私たちのサービスは、記帳代行まで丸投げしたい方というよりは、クラウド会計を使って自社で効率化したい、という意欲のある経営者に向いています。入り口は「スタンダードプラン(月額2万円〜)」という、手続き中心のシンプルなプランから始めていただくことが多いですが、事業が成長してくれば、より手厚いサポートが必要になりますよね。その時は、月次での打ち合わせや予実管理を含む上位プランへ移行していただく。成長に合わせてサービスを選べる「階段」を用意しているイメージです。
実際、「最初は安さで選んだけど、今はしっかり相談に乗ってほしいからプランを上げた」というお客様もいます。単なる安売りではなく、仕組みを理解し、共に成長できるお客様と長くお付き合いしたいと考えています。
インタビュアー: 「創業融資」や「社外CFO」といった、いわゆる「財務」の領域にも非常に力を入れていらっしゃいますね。税務申告だけでなく、なぜここまで財務コンサルティングに比重を置かれているのでしょうか?
それは、私たち税理士の仕事に対する強い危機感が根底にあります。率直に言って、記帳代行や税務申告といった「過去の数字をまとめる業務」は、AIの進化によってどんどん価値が下がっていくと考えています。極端な話、数年後には誰がやっても同じ結果が出る自動化された作業になっているかもしれない。そこで戦っていても、未来はありません。
だからこそ、私たちは「未来の数字を作る仕事」、つまり財務にシフトしました。経営者が本当に知りたいのは、「去年の税金がいくらだったか」よりも「来年どうやって資金を確保するか」「この事業計画で会社がどう成長するか」ですよね。そこをサポートできて初めて、AIには代えがたいパートナーになれると考えています。
インタビュアー: 財務や融資の支援は専門性が高く、対応できる税理士も少ないという話を聞いたことがありますが、貴所はどのように対応されているのでしょうか?
実はうちのスタッフ13名のうち、6名が元金融機関の出身なんです。地銀や信金で実際に融資担当をしていた人間がこれだけ揃っている税理士事務所は、全国でもかなり珍しいと思います。
これがどういう強みになるかというと、銀行側の「論理」と「本音」が分かるんです。銀行員が稟議書を書くときに何を重視するのか、どの数字をチェックするのか、どういう説明なら納得するのか。私たちはその答えあわせが最初からできている状態なんです。いわば、銀行との「共通言語」を持っている。ですから、融資のサポートにおいても、単に書類を作るだけでなく、「この書き方だと銀行はここを突っ込んでくるから、今のうちに対策しましょう」といった、非常に実践的なアドバイスが可能です。
一方で、元銀行員だからこそシビアな面もあります。創業融資のご相談で「自己資金ゼロだけど借りたい」という方がいらっしゃいますが、私たちは「それは無理です」とはっきりお伝えします。借りられないものは借りられない。そこで変に期待を持たせて手数料を取るようなことはしません。厳しいようですが、それがプロとしての誠実さだと考えていますし、その分、私たちが「これならいける」と判断した案件の通帳率は非常に高い水準を維持しています。
インタビュアー: ここまでのお話で、デジタルと金融の専門性を組み合わせた「合理的な事務所」という印象を強く持ちました。ただ、新美先生のお話を伺っていると、デジタル一辺倒ではなく、むしろ人間味のような部分も大切にされているように感じます。そのあたりのバランス感覚について教えてください。
おっしゃる通りです。私は「業務」はデジタルで徹底的に効率化すべきだと思いますが、「信頼」を築く最後のワンピースは、やはりアナログな部分にあると思っています。普段のやり取りはチャットやZoomで十分ですが、例えば銀行との重要な融資面談や、お客様の飲食店がオープンする時など、「ここ一番」という場面には必ず対面で駆けつけるようにしています。
特に融資の場面では、同席するだけで場の空気が変わることがあるんです。銀行員と同じ目線で話ができる専門家が隣に座っている。それだけで、経営者の方の安心感も、銀行側の納得感も全く違います。オンラインで完結できる仕組みがあるからこそ、そういった「本当に会うべき時」にリソースを集中投下できる。それが私の考える、デジタルとアナログの理想的な融合です。
インタビュアー: 普段は効率的に、大事な場面では泥臭く。そのメリハリこそが、全国の経営者から信頼される理由なのですね。最後に、しんこう会計事務所様の今後の展望と、この記事を読んでいる経営者の方へメッセージをお願いします。
今後は、財務支援・社外CFOのサービスをさらに強化し、現在13名の組織を30名規模まで拡大したいと考えています。人数が増えれば、それだけ多様な専門性を持ったスタッフを揃えられますし、より質の高いサービスを提供できます。また、YouTubeやnoteでの発信を通じて、私たちの考え方に共感してくださるお客様と出会っていきたいですね。
経営者の皆さんにお伝えしたいのは、「税理士選びで妥協しないでほしい」ということです。「近所だから」「安いから」という理由だけで選ぶ時代は終わりました。今はオンラインで、全国どこにいても自分に合った専門家と繋がれる時代です。もし、今の税理士さんとの関係にモヤモヤしていたり、もっと経営の相談に乗ってほしいと感じているなら、ぜひ一度、私たちの扉を叩いてみてください。「オンラインって意外と温かいな」「チャットってこんなに便利なんだ」と、きっと驚いていただけるはずです。

インタビュアー: 本日は貴重なお話をありがとうございました。「会わないからこそ距離が近い」という逆転の発想と、それを支える緻密な仕組み、そして元銀行員チームによる本質的な財務支援。これからの時代に求められる、新しい税理士像を見せていただいた気がします。
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