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「経営者というピッチャーの球を受ける、最高のキャッチャーでありたい」専業主婦から税理士へ、異色のキャリアが育んだ対話力

「経営者というピッチャーの球を受ける、最高のキャッチャーでありたい」専業主婦から税理士へ、異色のキャリアが育んだ対話力

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定岡佳代|定岡佳代税理士事務所 代表

1980年兵庫県生まれ。神戸大学大学院(土木工学)修了。元建設コンサルタント。

結婚・出産を経て専業主婦となるも、子育て中に一念発起し税理士の道へ。都内事務所での約10年の実務経験を経て、2023年8月に独立。「経営者はピッチャー、私はキャッチャー」をモットーに、経営者の孤独や想いを全力で受け止める対話重視のスタイルを貫く。プライベートでは2人の野球少年の母。

専業主婦からの再出発。理系脳と「数字への強さ」が導いた税理士への道

インタビュアー:本日は貴重なお時間をありがとうございます。まずは、どのような経緯で税理士という仕事を選ばれたのか、その原点からお聞かせいただけますか?

定岡:

こちらこそ、よろしくお願いします。実は私、最初から税理士を目指していたわけではないんです。出身は関西なんですが、結婚・出産前は大阪で土木業界の「建設コンサルタント」として働いていました 。当時は、歩道橋の老朽化対策を考えたりするような、今の仕事とは全く違う少し堅い仕事をしていました 。

転機になったのは、結婚と夫の東京転勤ですね 。それを機に仕事を辞め、2人の男の子を出産して、30歳手前くらいからは専業主婦をしていました 。ただ、子供の手が離れて社会復帰しようと思ったときに、「何か資格がないと」と思ってまずは簿記検定を受けたんです 。そうしたら、その延長線上に税理士試験というものがあるよと友人に教えてもらって 。

私は元々理系出身で、数字には強いという自負があったんです 。簿記も数字を扱うパズルのような感覚で、やってみたら面白くてハマってしまったというのが、この道に入った正直なきっかけですね 。

インタビュー風景

インタビュアー:そこから資格取得まではスムーズに進まれたのでしょうか?

定岡:

いえいえ、それがかなり長い道のりでした(笑)。結局、資格を取得できたのは40歳くらいの時です 。税理士試験は科目合格制なんですが、私はトータルで9回も受験しているんですよ 。

もちろん、ずっと勉強だけをしていたわけではなくて、受験生時代からパートタイムで会計事務所に勤務して実務経験を積んでいました 。最終的には3科目を試験で合格し、残りの科目は大学院へ進学して免除制度を活用して取得しました 。

周りを見れば10年近くかけて資格を取る方も珍しくない世界ですが、私の場合も「子育て」と「パート勤務」、そして「受験勉強」の3つを回しながらの挑戦でした。それでも諦めずに続けられたのは、やっぱりこの仕事が自分にとって「面白い」「向いている」と感じる瞬間が多かったからだと思います。資格取得後は、パートから正社員に切り替えて、四谷にある医療法人特化の税理士法人で3年ほど、どっぷりと実務に打ち込みました 。

独立の決め手は「息子の野球」。家族との時間を守るために選んだ、自分らしい開業スタイル

:そこから独立開業を決意されたのには、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

定岡:

大きなきっかけは2つあって、1つはコロナ禍による働き方の変化です。四谷の税理士法人に務めた当時はコロナ禍が始まった頃で、会社員である夫が完全リモートワークになったのです。ありがたいことに、夫が家事育児の負担を多くしてくれたので、私はこの期間で多くの実務経験を積むことができました。ただ、数年後にコロナ禍が明けたと同時に、今度は夫がフル出社に切り替わりました。それで、今までのように残業したりフルで働くことに限界を感じるようになりました。

そしてもう1つ、これが一番の理由なんですが……子供の野球なんです。勤務時代、息子2人はリトルリーグで野球を頑張っていて、土日には私も野球当番があり、朝6時半から夕方まで当番でグラウンドに立つことも月に数回ありました。仕事でも休日出社することがあったり、さらに平日の激務で疲れ果てていたりして……もうヘトヘトですよ(笑)。

そして長男は強豪の硬式野球部がある高校へ進学しました。高校野球は平日でも地方大会などの試合が入ることがあるので、ピッチャーの息子の晴れ舞台を見に行けないことが何度もあって。「私、何のために働いているんだろう?」という葛藤が強くなっていきました。

インタビュアー:なるほど。お母様として、お子さんの頑張る姿を一番近くで応援したいという気持ちと、組織人としての責任感との板挟みですね。

定岡:

そうなんです。親が子供のスポーツに関われる期間って、実はすごく短いじゃないですか。今しかないこの時間を犠牲にしたくない、という思いが決断させました。

ただ、いきなりゼロから独立するのは怖かったので、最初は以前から知っていた別の会計事務所の仕事を手伝わせてもらいながら、少しずつ自分の顧問先を増やしていく「ハイブリッド型」でスタートしました。これなら収入面の不安も軽減できますし、何より時間の融通が利きます。 おかげで、平日の試合も応援に行けるようになりましたし。「独立」というと「拡大志向」と思われがちですが、私の場合は「自分と家族の時間を守るため」の選択だったんです。

「経営者はピッチャー、私はキャッチャー」。対話を最重視する、定岡流・顧問契約の流儀

インタビュアー:定岡先生とお話ししていると、ご自身の役割を「キャッチャー」に例えられるのがとても印象的です。その心は、どのようなところにあるのでしょうか?

定岡:

私自身が野球少年の母だったことも影響しているんですが(笑)、経営者の方って、孤独なマウンドで一人戦うピッチャーだと思うんです。剛速球を投げたいときもあれば、変化球でかわしたいときもある。そんな時に、どんなボールでもしっかり受け止めて、「ナイスボール!」と声をかけてあげられる存在が必要じゃないかと。

税理士というと、「先生」として上から指導するイメージを持たれることもありますが、私はそうではなく、ピッチャー(経営者)の意図を汲み取って、一番投げやすいように構えるキャッチャーでありたいと思っています。

インタビュアー:素晴らしい例えですね。そうしたスタンスは、具体的なサービス内容や料金設定にも反映されているのでしょうか?

定岡:

そうですね。例えば、業界の価格競争には参加していません。少し高めの設定かもしれませんが、その分、「しっかり対話したい」「何かあったらすぐに相談したい」というお客様に選んでいただいています。

例えば、「安く済ませたいから年1回の決算だけでいい」というご依頼はお断りすることもあります。なぜなら、私が提供したいのは単なる計算代行ではなく、日々のコミュニケーションを通じた安心感だからです。 チャットでのご質問には、起きている時間であれば「即レス」を心がけていますし、ご希望があれば毎月訪問して膝を突き合わせてお話しします。「定岡さんに聞けばすぐ返ってくるから安心」と言っていただけるのが、私にとって何よりの報酬ですね。

顧問先の半数はYouTuber! 40代・女性税理士だからこそ築ける、現代的な信頼関係

インタビュアー:現在のお客様にはどのような業種の方が多いのでしょうか?

定岡:

実はこれ、自分でも予想外だったんですが……顧問先の約半分がYouTuberの方なんです(笑)。独立して一番最初のお客様がたまたまYouTuberの方で。そこから「この税理士さんは話しやすいよ」「チャットですぐ返事くれるよ」と、彼らのコミュニティ内で口コミが広がっていったんです。紹介が紹介を呼んで、気づけば半数がYouTuberという事務所になっていました。

インタビュアー:なるほど、インフルエンサーの方々の口コミ力は凄まじいですね。でも、彼らが定岡先生を紹介したくなる理由が必ずあるはずです。ご自身ではどう分析されていますか?

定岡:

一つは、私の年齢と性別かもしれません。税理士業界って平均年齢が60歳オーバーと言われていて、どうしても「先生」然とした年配の男性が多い世界です。 それに対して、私は40代の女性で、彼らにとっては「お母さん」や「親戚のお姉さん」くらいのちょうどいい距離感なんだと思います。YouTuberといっても若い経営者の方が多いので、偉そうな先生よりも、何でも気軽に聞ける相手の方が安心するんでしょうね。「こんなこと聞いてもいいのかな?」というハードルが低いのが私の強みです。

インタビュアー:確かに、デジタルネイティブな若い世代にとって、ITツールを使ってサクサク連絡が取れて、かつ親身になってくれるお母さんのような存在は貴重ですね。

定岡:

そう言っていただけると嬉しいです。 ただ、私一人ですべての専門分野を完璧にこなせるわけではありません。私は自分を「町の内科医」だと思っているんです。日々の体調管理や風邪のようなトラブルには私が親身に対応しますが、もし「相続」や「組織再編」といった高度な外科手術が必要になったら、信頼できる専門の先生(外科医)をご紹介します。

全部抱え込まず、餅は餅屋で連携する。その代わり、日々の相談窓口としては誰よりも話しやすい存在でいる。このスタンスが、結果的に今の若いお客様たちにフィットしたのかなと思っています。

事務所の雰囲気
AI活用から登山まで。仕事もプライベートも「沼」にハマって楽しむ、これからの展望

インタビュアー:今後の事務所のビジョンを教えてください。

定岡:

正直、拡大路線は全く考えていません。 人を雇って組織を大きくしてしまうと、どうしても管理業務が増えて、私自身がお客様と向き合う時間が減ってしまいますから。それよりは、今ご縁をいただいているお客様一人ひとりを大切にしながら、長く伴走していきたいですね。

個人的な今年の目標としては、本の出版を計画しているんです。実は私、絵を描くのも好きでして。昨年、あるメディアでイラスト付きの税務記事を連載していたんです。それをまとめて、難しい税金の話をイラストでわかりやすく解説する本を出したいなと。 お客様の事務所に私の本が置かれていて、ふとした時に手に取ってもらえたら……というのが今の密かな夢です(笑)。

インタビュアー:イラストまで描かれるとは多彩ですね! 仕事も充実されていますが、プライベートの方はいかがですか? 最近はハマっていることがあるとか。

定岡:

そうなんです、完全に「沼」にハマってしまったのが「登山」です。 昨年、士業仲間からのお誘いで富士山に登ったのがきっかけなんですが、登頂したときの達成感と景色の素晴らしさに魅了されてしまって。次はどこの山に登ろうかと考えるだけでワクワクします。 登山グッズを揃えるのも楽しくて、次々と新しいギアを買ってしまうので、まさに「沼」ですね。山なのに(笑)。

インタビュアー:でも、そうやってプライベートを全力で楽しんでいる先生だからこそ、経営者の方々も元気をもらえるんだと思います。

定岡:

そう言っていただけると嬉しいです。 山登りと一緒で、経営も一歩一歩の積み重ねですよね。時には険しい道もありますが、そんな時に隣で「こっちのルートがいいですよ」「もう少しで絶景が見えますよ」と声をかけられるパートナーでありたい。 仕事も趣味も全力で楽しみながら、お客様と一緒に素晴らしい景色を見に行けたら幸せです。

インタビュアー:本日は、定岡先生のお人柄と、お客様への熱い想いが伝わる素晴らしいお話をありがとうございました。

定岡:

こちらこそ、ありがとうございました!


編集後記

インタビュー中、終始笑顔でハキハキと語ってくださった定岡先生。 「理系出身」「元・建設コンサルタント」「野球少年の母」というユニークな経歴のパズルがピタリとハマり、現在の「対話を重視する税理士」というスタイルが確立されたのだと強く感じました。

税理士というと敷居が高く感じるかもしれませんが、定岡先生はまさに「近所のかかりつけ医」のような安心感があります。YouTuberのような最先端のビジネスに取り組む方から、堅実な経営を目指す方まで。 「数字だけでなく、心も通わせられる税理士を探している」 そんな経営者の方にとって、定岡先生はこれ以上ないパートナーになるはずです。

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※ 本インタビューの内容は取材時点のものです。事務所の体制やサービス内容は変更される可能性があります。最新の情報については各事務所に直接お問い合わせください。