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「日本の国土を守る」——大家専門税理士が、税務顧問をやめてまで貫く信念

「日本の国土を守る」——大家専門税理士が、税務顧問をやめてまで貫く信念

吉田博之(よしだ ひろゆき)|吉田博之税理士事務所 代表税理士

法政大学法学部卒。父と兄が税理士という家庭に育ち、資産税専門の税理士法人で10年間の修行を経て、2021年6月に独立開業。顧客の9割が不動産オーナーという大家専門のコンサルティングを主軸とする。大家専門税理士養成講座ではこれまでに250人以上の税理士を育成し、約45名が所属するコミュニティ「しこう会」を主宰する。

顧客の9割が大家——完全特化型事務所のリアル

インタビュアー: まず事務所の現在の姿を教えてください。開業からわずか5年で「大家専門」として確固たるポジションを築かれていますが、ここに至るまでには紆余曲折もあったのでしょうか。

吉田様:
2021年6月に「大家の右腕税理士事務所」として開業しました。最初は不動産オーナーや不動産コンサルティングの方など4人で一般社団法人を立ち上げて、共同でやっていたんです。ただ、2025年の8月に代表理事を退任することになりまして、一般社団法人側で商標を取っていたので、「大家の右腕」という名前が使えなくなったんです。

でも、名前が変わっただけで、やることは変わりません。開業当初から大家専門で、顧客の約9割は不動産オーナーです。最初は税務顧問だけのイメージで始めましたが、以前からコンサルティングは独学で勉強していたし、リアルオーナーへのコンサルもやっていたので、税理士事務所とは別の法人でコンサルティングを並行してやろうと考えていました。

今は正社員1名、パート1名の2.5名体制で運営しています。そして今では、税務顧問はほぼ手放し、コンサルティングが業務の柱になっています——その経緯は後ほど詳しくお話しします。
「税理士一家」の異端児——なぜか不動産だけが面白かった

インタビュアー: 吉田先生が税理士になったのは、やはりお父様やお兄様の影響が大きかったのですか?

吉田様:
正直に言えば、「洗脳」ですね(笑)。父も兄も税理士で、物心ついたときから当たり前のように「お前も税理士になるんだ」という空気がありました。父は名古屋で80歳の今も現役、兄は別で50名規模の法人を経営しています。特に反発もなく、自然にこの道に入った感じです。

インタビュアー: その中で「大家専門」に特化された。ご家族の事務所とは違う道を選ばれたわけですよね。何がその決断の背中を押したんですか?

吉田様:
父と兄の会計事務所で10年ほど経験を積んだのですが、父のいとこがハウスメーカーのビルダーで、そこから約400人もの大家さんを紹介してくれていたんです。入社した時点で大家のお客さんが200〜300名いる状態でした。

ただ、事務所の空気は正反対でした。父も兄も、簡単な相続対策や申告はやるけど、大家さんの日々のサポートにはほとんど手をつけない。社員の間でも「大家のお客さんはつまらない」という雰囲気があって、事務所としては別業種をどんどん拡大していく方針でした。

でも、私は違ったんです。なぜかわからないけど、不動産が面白いと思えた。勉強すればするほど奥が深い。大家ビジネスって実はものすごく大変で、不動産・金融・税金——この3つすべてを理解している人材がほとんどいない。だから大家さんは業者の言いなりになってしまう。ここに大きなチャンスがあると感じました。

もうひとつ大きかったのが、妻の家族が代々の地主大家の家系で、私は養子に入ったことです。吉田家は代々女系で、養子を迎え入れてきた家系。結婚するときから養子に入る約束はしていましたが、実際に養子縁組したのは独立と男の子が生まれたタイミングが重なった時期でした。

それまでは大家さんの案件を「仕事」として見ていた。でも養子に入った瞬間、不動産が「自分ごと」になったんです。この土地を守らなきゃいけない、親子が争わないようにしなきゃいけない——そういう覚悟が芽生えた。税理士としてアドバイスする側と、大家として経営判断をする側。両方の立場を持ったことで、見える世界がまるで変わりました
長男の死と「日本の国土を守る」という使命

インタビュアー: 先生のミッション「日本の国土を守る」には、壮大さの裏に極めて個人的な原体験があると伺いました。

吉田様:
開業した当初は、正直ミッションなんて深く考えていませんでした。でも私はもともと、幸せってなんだろうとか、生きている意味とか、天命や宿命といったことを考えるのが好きなんです。

その問いが切実なものになったのは、長男を亡くした時です。生後1年11か月頃、独立する前の出来事でした。

あの経験を経て、「自分の使命は絶対に何かあるはずだ」と考え続けるようになりました。なぜ自分は不動産にこだわるのか、養子縁組という「つながり」にこだわるのか——。

日本の相続税は最高税率55%。一方でアメリカの基礎控除は24億円もある。富の再分配は素晴らしいと思います。でも、外国資本に日本の不動産を買われてしまったら、有事の際に困るのは日本人です。最近のニュースで海外資本による土地の買い上げを見るたびに、この危機感は増しています。

「相続税廃止」を叫んでも何も変わらない。国に頼るのではなく、自分たちで動かなければならないと思ったんです。国が教えていないことを、税制を通じて、合法的に教えていく——それが税理士にしかできない仕事ではないかと考えています。

ただ、大家さんは孤独だし、情報もあまり出したがらない。だから一人の税理士が届けられる範囲には限界がある。でも、税理士が大家さんについているのだから、「あなたの不動産は守れますよ」と言える税理士を増やせば、ムーブメントにできるはずだ。この確信が、養成講座やコミュニティの原動力になっています。
ターゲットを絞り込む勇気——「仲が悪い家族でうまくいった試しがない」

インタビュアー: このミッションが確立されたことで、顧客の選び方も変わったのですか?

吉田様:
大きく変わりました。以前は大家さん全般を対象にしていましたが、投資家系のサラリーマン大家さんはサービス対象から外したんです。

現在ターゲットにしているのは、3つの条件を満たす方です。家賃収入2,000万円以上の地主大家さんで、2代目以降、そして後継者がいて、家族の仲が悪くないこと

3つ目が一番大事かもしれません。思いがなければ不動産は手放してしまうものです。自分自身の経験としても、子供がいるかいないかで不動産への思いは大きく変わります。そしてコンサルティングの現場では、仲が悪い家族でうまくいった試しがないんです。どんなに優れた提案を作っても、親子の仲が悪ければ実行に移すことができません。

仲が「良い」必要はないんです。ただ、「悪い」はダメ。お子さん側と相談する機会も多いので、ここは絶対に譲れない条件です。
「三代で資産がなくなる」を止める——税理士こそが資産家の「門番」

インタビュアー: 「不動産は三代で失われる」とよく言われますが、そのメカニズムと、先生はそれをどう食い止めようとしているのかを教えてください。

吉田様:
原因は2つあります。まず相続税の最高税率55%。3億の資産が1.5億になり、さらに1億になる。そこまで減ってしまうと、もうその代で専業で不動産業をやるのは難しく、資産を食いつぶして終わってしまいます。

もう一つが子供が何人いるか問題。相続人が複数いれば資産は分割され、縮小は加速する。

だから必要なのは、相続税で取られる分以上に資産を増やしていくという発想です。しかし、この話をできる税理士がほとんどいない。経営コンサルでも「売上を増やす」「資産を増やす」というコンサルティングができる人は少ないのが現状です。自分はそこができると考えています。

インタビュアー: 「点ではなく線としてつなぐ」というアプローチの、具体的な中身を教えてください。

吉田様:
資産家にはどうしても業者が群がります。無知につけこんで、ハウスメーカーが「建物を建てましょう」、不動産会社が「売りましょう」と。それぞれの提案は部分的には正しいかもしれない。でも全部「点」の提案なんです。その家族にとっての全体最適にはなっていない。

私がやっているのは、まずその家族がやりたいことを引き出すところから始めます。一家の思いやビジョン、目的がわかっていないと本当の支援はできない。

税理士業界の良くないところとして、価値提供していないのにダラダラと顧問契約が続くケースが多々あることだと思っています。私はそれが嫌なので、プロジェクト型でやっています。相続対策、所得税の圧縮、遊休地の活用、底地と借地の持ち方の見直し、保険の見直し、農協の普通預金を金利がつく金融機関に移す、不動産に偏った資産配分を相続前に整理する——こういった課題に優先順位をつけて、複数のプロジェクトを同時並行で回していきます。

インタビュアー: 30年シミュレーションについても詳しく教えてください。

吉田様:
これは特に重要です。相続税の試算だけでも10〜20年先の話になる。さらに建物の構造や返済期間を考えると、建物を作る瞬間から35年先まで見ないといけない。

ハウスメーカーも35年のシミュレーションは出しますよ。でもそれは「儲かるように見せる」ためのものです。以前は建築費もそこまで高くなかったのでなんとかなっていましたが、今は固定費がどんどん上がる一方で、家賃の値上げは追いつかない。その他の費用もかさんでいきます。過剰な前提を実態に即して下方修正するのが自分の仕事です。本来それをチェックすべき税理士がそのままOKを出してしまうケースも少なくないのが現実ですが。

法人活用のコンサルティングも得意分野です。多くの税理士は課税所得1,000万円程度からが法人化のラインだと考えていますが、私は500万円程度からでもメリットを出せると考えています。物件の種類、築年数、所得、家族構成——状況に応じたオーダーメイドの提案ができることが強みです。

法人化で一番大変なのは、法人に建物を売却するケースです。いくらで売るのか、資金調達はどうするのか。ここが税理士の腕の差が一番出るところなのですが、9割ぐらいの方は、失敗事例を正解だと思っているのが実態です。税理士自身も十分に勉強していないため自信が持てず、結果として「法人化はダメ」と潰してしまったり、自信がないから無料でやってしまったりする。この大きなギャップにこそ、私たちが提供できる価値があると思っています。
「上流を見つけろ」——大家専門の集客を仕組み化した方法

インタビュアー: 開業当初、大家さんに特化したことで、お客様の獲得にはかなり苦労されたのではないですか?

吉田様:
新規獲得はやっぱり大変でした。最初は「大家さんってなかなか世の中にいないな」と思っていたんです。でも、実はいないのではなく、見つけ方を知らなかっただけだと気づいたんです。

基本的にはアライアンスを組むアプローチです。不動産管理会社、生命保険の営業マン、銀行。

講座でも話していますが、一番効果的なのは不動産管理会社向けの無料研修です。「大家さんにこういったサービスをやっていますが、営業マンの方が聞いても参考になると思うので、無料で研修をやらせてください」と持ちかける。管理棟数を増やしたい会社なら、喜んで聞いてくれます。

そうすると、「このまま大家さんにも話したらどう?」と言うと、大家さん向けの説明会ができたり、営業マンから紹介がもらえるようになる。セミナーをやらなくても紹介が来る仕組みが出来上がっていくんです。

業種特化の集客は基本的に同じ構造だと思っています。飲食特化なら不動産屋が上流、理美容でも同じ。顧客が最初に相談する「上流」を見つけて、そこと関係を作る。不動産だったら管理会社、次が資金調達の銀行、そして最後に税務。一番上流で誰と仲良くしているか——これがすべてです。

この集客ノウハウもレジュメ付きで講座メンバーやコミュニティメンバーに全部共有しています。
税務顧問をやめる税理士——コミュニティ「しこう会」が描く未来

インタビュアー: 2027年に会計事務所としての経営を完全にやめるという決断をされたと伺いました。「税務って、自分がやる必要あるのかな」と思われたとのことですが、その葛藤をもう少し教えてください。

吉田様:
2021年の独立時点で、税理士に対してコンサルティングの体系化を教えたいという構想はありました。実際に動き出したのは2023年の春です。養成講座を始めて、税理士向けにコンサルティングサービスの体系を伝え始めた。

やり始めた時に、ふと思ったんです。「税務って、自分がやる必要あるのかな?」と。

もちろん税務は大事です。でもそれを自社でやり続けるとなると、社員の採用・育成にコストがかかる。確定申告、決算、月次顧問——昔ながらのやり方でスケールさせることにワクワクしなかったんです。生きていくために必要なのはわかるけれど、これでは「国土を守る」というミッションには到達できないと感じました。

そこで思いついたのが、自分はコンサルティングに集中し、つながりのある税理士が税務を担う分業モデルです。養成講座の卒業生を対象に、2025年4月に月額コミュニティ「しこう会」を設立。1年で約45名が加盟し、講座受講者の4割ほどが入ってくれています。月額は2万円程度です。
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インタビュアー: コミュニティメンバーへの案件の振り分けは、どのように運用されていますか?

吉田様:
3つのプランで運用しています。

「丸投げプラン」はコンサルティングを全て任せていただく形です。報酬の2割を税理士にお返しします。報酬が1,000万円規模の案件もあるので、200万円ほど還元できますし、受ける側にとってはOJTで実力がつくメリットもあります。

「黒子プラン」は報酬も実行も50:50の共同体制です。バックオフィスとして資料作成と壁打ちを担い、お客さんへの提案はすべてその先生が行います。

「ブレインプラン」は報酬の2割をいただき、提案書の確認や「他にやれることはないか?」という壁打ち相手になる形です。

これを通じてメンバーがどんどんスキルアップしていく。不動産コンサルティングができる税理士が増えれば、自分ひとりでは到達できない規模でミッションを実現できます。

いま会計事務所としての売上は全体の1割程度。新規の税務顧問はもう受けておらず、既存のお客さんも少しずつ減らして、2027年には会計事務所の経営を完全にやめる予定です。
「講座受講中に7,000万円の報酬」——税理士の常識を壊す成功事例

インタビュアー: 養成講座で250人以上を育てられた中で、印象に残っている受講生の変化はありますか?

吉田様:
講座を受講している最中に、7,000万円の報酬をもらったという方がいました。「講座の費用を10倍にすればよかった」と冗談で言いましたけど(笑)。やれば成果が出るんです。

他にも、家賃収入が1,000万円に満たない大家さんから100万円の報酬を得た事例があります。従来の税務顧問なら20〜30万円程度の報酬しか得られなかったお客さんから、顧問業務以外で100万円。なぜそれができたかというと、「こんなに不動産に詳しくて、家族関係も踏まえて話をしてくれる先生はいない」とお客さんに言ってもらえたから。数字だけじゃなく、親子の関係性や家族の想いに寄り添ったからこその結果です。

私は受講生に「最低報酬100万円」と伝えています。それだけの価値を提供できるスキルを、この講座で身につけてもらいたいと本気で思っています。
「騙されるのはオーナーの無知が原因」——不動産オーナーへのメッセージ

インタビュアー: 最後に、良い税理士を探している不動産オーナーの方々にメッセージをお願いします。

吉田様:
厳しいことを言います。大家さんはすごく騙される。でもそれは業者が悪いんじゃなくて、大家さんが「無知」だからです。もっと勉強してほしいというのが、一番伝えたいメッセージです。

不動産は正しくやっていれば儲かるものなんです。騙されるのは勉強していないから。でも一人で勉強するのは難しいですよね。ジムと一緒です。自分でトレーニングしようと思っても続かない。だからパーソナルトレーナーが必要になるんです。

大家専門の税理士は、まさにその「トレーナー」のような存在です。大事なのは、自分のレベルと相手のレベルが同等か、少し相手のほうが上の税理士を選ぶこと。背伸びしすぎてもレベルが低すぎても、良い関係は築けません。

具体的な見極め方をお伝えします。まず相続に強いかどうか、法人化の実務経験があるかどうか。そしてもうひとつ、こう聞いてみてください。「法人化はいくらからメリットが出ると思いますか?」と。一般的には課税所得1,000万円と言われていますが、本当に力のある税理士なら500万円程度からメリットを出せるはずです。その回答に、その税理士の実力が表れます。

最初に選んだ税理士をなかなか変えないものですが、切り替えのサインは確実にあります。

そしてもう一つ。下手したら来年には決算はAIがやってくれる時代が来るかもしれません。決算がいらない世界で、決算じゃないビジネスでどう生きていくか。これは税理士側の課題でもありますが、大家さんにとっても、決算以外の分野——資産形成やコンサルティング——で価値を提供できる税理士を選ぶことが、これからの時代を乗り越えるカギになるはずです。

取材後記

「決算が苦手なんですよ」「ミスなく決算を仕上げられる先生はすごい、自分にはできない」——吉田先生は、業界の常識からすれば「弱み」になることを、一切隠しませんでした。

一方で、その率直さの裏にある覚悟はとても深いものでした。長男を亡くされた経験から「日本の国土を守る」というミッションにたどり着き、税務顧問をやめるという決断をし、250人の税理士にノウハウを惜しみなく伝え、45名のコミュニティを率いる。「苦手なことはやらず、得意なことに全振りする」という哲学が市場に認められた証だと感じます。

名古屋では「DJ税理士」としても知られる吉田先生。趣味のDJで培った「年齢層に応じて選曲を変える」臨機応変さは、家族ごとに異なる課題にオーダーメイドで向き合うコンサルティングと通じるものがあります。

不動産や相続のことで、「どこに相談すればいいかわからない」と感じているなら、まずは吉田先生に話してみてください。弱みを隠さず、得意なことに誠実な税理士が、あなたの課題に向き合ってくれるはずです。

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