「一緒に成長していきたい」そう言える税理士でいたい──お客様と共に歩む若手税理士の流儀

柳本大至(やなぎもと たいし)|税理士・墨田feel会計事務所 代表
福岡県出身。横浜国立大学経営学部卒業後、税理士を目指して大学院へ進学。個人事務所や大手税理士法人での経験を経て、2023年8月に独立開業。IPO支援や複雑な税務に携わった経験を活かしつつ、現在は主にスタートアップ企業と共に成長する税理士として、全国のクライアントを支援している。
事務所の体制やお客様について教えてください。
現在は私と正社員2名の3名体制で運営しています。お客様は全部で80〜90社くらいで、スタートアップ企業が多いです。
弊所のスタンスとして、事業を応援して、お客様と一緒に成長する事務所を目指しております。創業当初より「Growth and change together(共に成長し、共に変化する)」という言葉を大切にしております。事務所としても3年目に入って、同じくらいのタイミングで創業したばかりの会社と一緒に成長したい、という思いが強くなりました。
お客様の地域に特徴はありますか?
地域は、freeeさんのコンパクトプランの流れで全国にお客様がいるのですが、最近は紹介や問い合わせで墨田区・台東区等、事務所の近くのお客様が増えてきました。墨田区は意外と会社設立が多いんですよね。
事務所名に「feel」を入れた理由を教えてください。
知識や経験の深さももちろんですが、お客様とのフィーリングを重視しており、税金以外のこともつい話したくなってしまう、そんな税理士事務所を目指しております。そのような想いと、大好きな街・墨田区とを掛け合わせ、事務所の名称を「墨田feel」としました。
というのは、正直、後付けでして(笑)。実は、FEELCYCLE(暗闘フィットネス)にハマっていて、そこから取ってきました。
しかし、お客様と税理士の関係は基本的には長いお付き合いになりますので、フィーリングが合うということは関係性を築いていく上でとても重要だと考えています。相互リスペクトであったり、お客様との距離感であったり。「フィーリングが合う」というのは、お互いに尊重し合える関係が築けるかどうか、と考えています。
最初はマーケティング的に事務所名は間違えたかな?と思っていましたが、墨田区といえば隅田川やスカイツリーがあって、そこに「feel」で、今では意外といいネーミングだったなと思っています(笑)。
税理士を目指したきっかけを教えてください。
大学に入る前は、漠然と社長になりたいと思っていました。社長になるなら経営を学びたいと思い、横浜国立大学の経営学部を選びました。ただ、浪人を経験したこともあって少し守りにはいってしまって、大学に入ってからは、「まずは資格の勉強をしよう」と思いました。昔、山田真哉さんの『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』を読んで、会計の世界に興味を持っていたので公認会計士を目指そうかと思っていました。
しかし、新歓などで大学生活が始まると、結局遊びを優先してしまって(笑)。そのまま就職活動の時期を迎えてしまい、自分が何をやりたいのか見えない状態で就活をしていたので、当然うまくいかず内定も出ませんでした。
そこで思い出したのが、昔読んだ山田さんの本のことや、会計士を目指そうとしていたことです。ただ、今から会計士を目指すのは現実的ではない。でも税理士なら、社会人をやりながらでも目指せる。22歳の時、そう考えました。リーマン・ショックの時代だったこともあって、資格を持っていたほうが強いと思いましたし、大学の先輩で税理士を目指している方がいて、その方の姿を見て「自分も目指してみたい」と思いました。
大学院を出て、最初は個人の会計事務所に就職されたんですね。
はい。しかし1年4ヶ月くらいで辞めてしまいました。今思えば当時からすごく恵まれた職場で、1年目は9時から17時で帰れるようにスケジュールを組みなさいという、とてもためになるスキルを教えていただいていたのですが、当時の自分はもっと経験を積むためにもガツガツ働きたかった。それで次の職場として、当時100名規模の税理士法人に転職しました。
そこでは約10年間勤務されましたが、どんな仕事が印象に残っていますか?
総合的な事務所だったので、個人事業主から上場企業まで幅広く担当しました。最後の数年間は、上場企業やIPOを目指す企業の税務の支援といった仕事が多かったです。ただ、IPO支援そのものというより、IPOに伴う複雑な税務──グループ法人税制や通算税制などをやり遂げた時に、大きな達成感を感じました。全部で20社弱くらいは携わったと思います。
そんな充実したキャリアを手放して、独立を決意されたのはなぜですか?
先述の税理士の先輩と飲む機会があって、「独立しないの?」と言われたことがありました。その時は「会社員は会社員で楽しいので独立はいずれ」と答えたのですが、どこか心に引っかかってしまいました。その日家に帰ってから、すぐに独立のシミュレーションをしてみました。
自分で事務所を構えて、自由もある環境で自分の税理士としての力も試すことができる。想像するとワクワクしてきました。唯一不安があるとしたらお客様をどう見つけていくかという点でしたが、前職でも多少の営業経験はあったので、「もっと自分で戦略を立てて動けるのは楽しそう」と思えました。次の日には妻に「独立しようと思っているんだけど…」と相談していました。
周りから見ると何も考えずに動いているように見えたと思います(笑)。しかし、自分としては石橋を叩いて渡るタイプだと思っています。
2023年7月まで前職にいて、5月くらいから事務所を借りて準備していたので、開業日(8月1日)が特別というわけでもなかったんです。むしろ開業日に次男が熱を出して、いきなり休業でした(笑)。
開業後はスムーズに進みましたか?
最初の1ヶ月は準備でバタバタしていて、ご紹介などで見込みのお客さま先もあったりと精神的に大丈夫だったのですが、2〜3ヶ月目くらいに「このままで大丈夫かな?」という不安が出てきました。
最初は前職の経験を活かして、IPO支援等の税理士の乗り換えのタイミングを狙っていたのですが、広告などそのような動きも大してしていませんでしたし、当たり前のように一人税理士にそのような案件はきませんでした。3ヶ月目くらいには少しメンタルも崩して、年末には帯状疱疹になってしまいました。帯状疱疹は今までの人生で3本指に入るレベルでつらかったです(笑)。
そこから軌道に乗ったきっかけは?
freeeさんが当時提供されていたコンパクトプランです。freee会社設立というサービスで会社の設立をした方を、freeeさんが紹介してくれるというプランで、1年間10時間の相談を年間5万円で受けられるという内容でした。周りの税理士の方から「紹介サービスは月1〜2件あればいいほう」と聞いていて、実際に感覚的にもそうだったのですが、最終的に35社くらいのお客様と繋がることができました。
それと同時に、いろいろな方からの紹介も出始めまして。MEO対策でお客様に口コミにご協力いただいたり、YouTubeで発信したりもしていました。1年目の途中くらいから、軌道に乗り始めた感じです。
今後やりたいことを教えてください。
近い将来の構想としては、お客さまを集めて勉強会を開きたいと思っています。内容は正直お客様のためになるものであれば何でもいいのですが、勉強会の後に交流会を開き、そこからお客様同士で仕事が生まれたり、成長につながる場を提供できたらいいなと思っております。
あとは、YouTube「墨田feelミッドナイトラジオ」は現在、配信していないのですが、お客様を紹介するような番組として復活することも考えています。チャンネル登録者数は少ないですが、YouTubeを見て問い合わせしてくれた方もいらっしゃったので、余裕が出てきたらまた始めたいです。
5年後、10年後の墨田feel会計事務所はどんな姿ですか?
定性的かもしれませんが、墨田区で事業をやるなら「墨田feel」と言われるぐらいの事務所にしていきたいと思っています。そのためにも、スカイツリーの隣にイーストタワー(約30階建て)があって、そこに入居するのも密かな目標にしています(笑)。
ただ、自分たちが疲弊してしまうような薄利多売であったり、組織が壊れるような無理な成長はしたくない。お客様と共に成長するために努力し、結果的にそこまで成長できたら良いなと思っています。
今は創業期のお客様が多いですが、将来的にはお客様がIPOを目指したりと、その先のフェーズに入った時に、自分たちもそれに寄り添えるように成長していきたいです。
開業から約2年半。率直に、思い描いていた通りですか?
最初はターゲットも違ったので、思った通りではなかったかもしれないです。しかし、現在ではスタートアップのお客様を中心に、税務だけではなく様々なことを一緒に考えるようになり、「Growth and change together」がフィットしてきているなと感じています。
みんなが知っていて、墨田feelに頼めば安心──そのようなブランドを、お客様と従業員と共に作っていけると嬉しいなと思っています。
最後に、今まさに「税理士選び」に悩んでいる経営者に一言お願いします。
特にスタートアップの経営者様へですが、税理士は一度契約すると長い付き合いになることが多いと思いますので、実力ももちろん大事ですが、ご自身とのフィーリングが合うかどうかを大切にしていただけると良いかと思います。
最初は金額面で決めがちかと思いますが、多少の差であれば、フィーリングが合うかどうかで選ぶことで報酬の差以上の価値を得られると思います。税理士選びは大変かと思いますが、慎重に、時間をかけてじっくり選ばれることをお勧めいたします。
それから、求職者の方へ。弊所は、お客様と共に成長しながら、仲間とも一緒に成長していける事務所にしていきたいと考えております。独立して間もない事務所ですので、0から一緒に作っていくことが可能です。大手事務所さんのようにシステム等、整っているわけではないですが、独立したい気持ちや、成長意欲のある方には疑似独立のような位置づけで、一緒にチャレンジできる環境がありますので、ぜひ興味があればお声がけください!
墨田feel会計事務所の詳細はこちら
取材後記
取材中、柳本さんからは終始「一緒に成長したい」という言葉が印象的でした。それは顧問先だけでなく、スタッフに対しても同じ。開業3年目という若い事務所だからこそ、形式ばった関係ではなく、フィーリングを大切にしながら、共に試行錯誤していける──そんな柔軟さと温かさが、墨田feel会計事務所の最大の魅力なのだと感じました。
「スカイツリーの隣に入居したい」と笑いながら話してくれた目標も、単なる夢物語ではなく、顧問先の成長と共に自分たちも成長するという、堅実な道筋の先にある具体的なビジョンです。開業初期の悩み、freeeコンパクトプランでの転機、そして今──柳本さんの歩みは、これから独立を考えている税理士にとっても、税理士を探している経営者にとっても、大きなヒントになるはずです。
「フィーリングが合う」──たったそれだけのことが、長い事業人生において、お金では買えない価値を生み出す。そんなことを改めて考えさせられた取材でした。
あなたに合った税理士、見つかります
インタビューで気になった税理士への相談も、他の税理士の紹介も、すべて無料。
良い税理士のコンシェルジュにお任せください。
※ 本インタビューの内容は取材時点のものです。事務所の体制やサービス内容は変更される可能性があります。最新の情報については各事務所に直接お問い合わせください。